COLUMN

長期優良住宅の耐震等級が2025年から変わる理由と正しい基準の選び方を徹底解説

長期優良住宅の耐震等級が2025年から変わる理由と正しい基準の選び方を徹底解説

地震の多い日本において、住宅の「耐震性能」は家づくりで最も重視すべき要素のひとつです。中でも「長期優良住宅」と「耐震等級」は、国が定めた住宅性能を示す重要な制度であり、安心・安全・快適な暮らしを実現する上で欠かせない存在です。近年では、制度改正により基準もより厳しくなり、2025年には耐震等級に関する新たな基準が施行されます。この記事では、長期優良住宅と耐震等級の基本から、最新の制度動向、費用、注意点、実例まで、初めての方でもわかりやすく、専門的に解説します。これから住宅購入や建築を検討している方にとって、後悔しない選択をするためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。

まず知っておきたい長期優良住宅とは何か?

「住宅は人生で最も大きな買い物」と言われる中で、将来を見据えた「賢い家選び」がますます重要になっています。そんな中で注目されているのが「長期優良住宅」です。しかし、名称だけが一人歩きし、制度の本質が理解されていないケースも少なくありません。ここでは、長期優良住宅の定義や背景、そして選ぶべき理由について、深掘りしていきましょう。

長期優良住宅とは、簡単に言えば「長く安心して快適に暮らせる性能を持った家」です。国が定める一定の基準を満たした住宅に対して認定が与えられます。この基準には、耐震性や省エネ性、維持管理の容易性、劣化対策、可変性、居住環境など、複数の視点が含まれており、単に「頑丈な家」であるだけでなく、「将来まで使い続ける価値のある家」という視点で作られています。たとえば、耐震等級2以上を満たす必要があり、住宅性能に対するハードルは高めです。

この制度が誕生した背景には、日本の住宅事情における大きな課題があります。日本ではこれまで、住宅は30年から40年で建て替える「スクラップ&ビルド型」のライフサイクルが主流でした。しかし、これにより資産価値の低下や環境負荷の増加など、多くの問題が指摘されるようになりました。こうした流れを変えるために、政府は2009年に「長期優良住宅認定制度」を導入し、ストック型社会への転換を進めています。

長期優良住宅には、具体的なメリットも数多く存在します。例えば、住宅ローン控除の上限額が拡大されたり、不動産取得税や登録免許税、固定資産税の軽減など、税制面での優遇があります。さらに、地震保険料の割引や、金融機関によっては住宅ローン金利の優遇措置を受けられるケースもあります。加えて、「長期優良住宅」であるというだけで、住宅のブランド力が上がり、将来的に売却や賃貸する際にも有利に働くことが多いのです。

とはいえ、認定を受けるには一定のコストや手間がかかるのも事実です。性能評価を受けるための設計や申請、検査が必要で、設計事務所や施工会社との綿密な連携が求められます。また、初期費用もやや割高になる可能性があります。しかし、その分、高い性能と価値を持った家を手に入れられると考えれば、決して高すぎる投資ではありません。

結果として、長期優良住宅は「高性能住宅を選ぶための国のお墨付き」と言っても過言ではありません。これから何十年も暮らす家に対して、安心・安全・快適・経済的という4つの価値を長期にわたり維持したいのであれば、長期優良住宅は最も信頼できる選択肢の一つになるでしょう。

2025年に変わった!長期優良住宅の耐震等級に関する最新制度

住宅性能の中でも、命を守る「耐震性」は極めて重要です。日本は地震大国として知られ、今後も大きな地震が発生する可能性は高いとされています。そうした背景の中、長期優良住宅の認定制度において、耐震等級に関する基準が2025年4月から大きく見直されることが決まりました。今、住宅を購入・建築しようと考えている方にとって、この制度改正は避けて通れないテーマです。

まず、この制度改正のポイントは、より現実的な地震リスクに基づいた耐震性能の評価を求めるという点にあります。これまでの耐震評価は、「壁量計算」と呼ばれる比較的シンプルな方法でも対応可能でしたが、今後は「許容応力度計算」など、より精緻な構造計算を求められるようになります。つまり、建物の構造そのものの安全性を科学的に分析し、より正確な評価を行う方向にシフトするのです。

制度の変更は、建築業界にとっても住宅購入者にとっても、大きな意味を持ちます。耐震性の評価基準が高まることは、当然ながら設計や施工の難易度・コストにも影響します。しかし一方で、住宅の安全性が飛躍的に向上し、住む人の安心感や資産価値の維持に直結するため、長期的には多くのメリットがあります。

また、耐震等級3の取得がこれまで以上に重視されるようになる点も見逃せません。等級3とは、数百年に一度発生する地震にも倒壊・崩壊しないレベルの耐震性能を持つ住宅に付与される最高等級です。2025年以降は、実質的に「耐震等級3であること」が長期優良住宅の標準的な基準になっていくと考えられます。つまり、等級2では不十分とされる時代がやってくるのです。

このような動きを受けて、建築業界ではすでに制度対応の動きが加速しています。設計士や工務店は、新しい基準に適応した設計・計算を行うための準備を進めており、住宅メーカーの中には、新基準に完全対応した商品ラインを用意する企業も増えてきました。消費者にとっては、制度改正に理解のある会社を選ぶことが、将来的なリスクを避けるカギとなります。

最後に大切なことは、こうした制度改正は単なるルール変更ではなく、災害から命と資産を守るための「命綱」であるということです。見直された基準は、これまで以上に実効性が高く、実際の地震被害を減らすことが期待されています。住宅を建てるタイミングによっては、制度改正前の設計で間に合うこともありますが、長期的な視点で見れば、新しい基準に基づいた住宅のほうが、圧倒的に価値が高いといえるでしょう。

耐震等級の基本とその重要性について

住宅の耐震性を判断するための指標として、最も広く使われているのが「耐震等級」です。これは、国が定めた住宅性能表示制度に基づいて、地震に対する建物の強さを評価するもので、等級1〜3の3段階で表されます。耐震等級は、単に数値の違いだけでなく、命や財産を守るための実用的かつ重要な基準であり、住宅を選ぶ際には絶対に見逃してはならないポイントです。

多くの人が「建築基準法をクリアしていれば大丈夫」と思いがちですが、これは大きな誤解です。建築基準法は最低限の基準であり、実際に発生する大地震の規模や回数を考えると、それだけでは不十分な場合が多いのです。特に、阪神淡路大震災や熊本地震の被害では、基準法を満たしていた住宅でも倒壊や半壊が多く見られました。つまり、安心して暮らすためには、建築基準法以上の耐震性能を持つ住宅=耐震等級2以上、できれば等級3の住宅を選ぶべきです。

耐震等級の評価方法は、主に以下のように分かれます。等級1は建築基準法レベルで「震度6強〜7程度の地震でも倒壊しない」ことが基準となります。等級2は等級1の1.25倍、等級3はその1.5倍の強さを持つ設計が求められます。この「1.5倍」という数値は、単に壁を増やすだけでなく、構造全体を見直し、精密な構造計算が必要となるレベルです。特に等級3は、消防署や警察署などの防災拠点にも適用されている基準であり、それだけに安全性の高さは折り紙付きです。

では、なぜこれほどまでに耐震等級が重要視されるのでしょうか? それは、地震がいつ起こるか予測できない以上、「地震に強い家に住む」という備えこそが、自分と家族の命を守る最大の対策になるからです。実際、熊本地震では、耐震等級3の住宅に住んでいた世帯の多くが、地震後も住み続けることができたというデータもあります。住宅が無事であることは、避難所生活を避けられるという点でも非常に大きなメリットです。

一方で、耐震等級に対する誤解や曖昧な表現にも注意が必要です。「耐震等級3相当」や「耐震性能に配慮」などの言葉は、正式な評価を受けていない場合がほとんどで、保険料の割引や税制優遇の対象外となる可能性があります。しっかりとした第三者機関による評価書の取得が、正確な耐震等級の証明には不可欠です。

このように、耐震等級は住宅の安全性を可視化する非常に重要な制度であり、数値の違いが命運を分ける場面すらあり得ます。将来の安心を考えるなら、初期費用だけで判断せず、耐震等級という「住まいの品質保証」を重視した選択をすることが何よりも賢明です。

長期優良住宅認定に必要な耐震等級の条件とは

長期優良住宅の認定を受けるには、さまざまな性能要件を満たす必要がありますが、中でも「耐震等級」に関する条件は、命と直結する最も重要なポイントの一つです。2025年4月の制度改正により、長期優良住宅としての認定を受けるハードルはさらに高くなります。新基準では、耐震等級2以上が求められ、実質的には耐震等級3の取得がスタンダードになると予想されています。つまり、これから家を建てる人にとって、「耐震等級」は長期優良住宅を目指す上で避けて通れないテーマなのです。

耐震等級2は、学校や病院など公共性の高い施設にも適用される水準で、建築基準法の1.25倍の耐震強度を有しています。これでも十分に高い性能といえますが、実際の地震リスクを考慮すると、さらに上の耐震等級3を選ぶ人が増えています。等級3は、建築基準法の1.5倍の耐震性能があり、消防署や警察署など、地震発生後も機能を維持する必要がある「防災拠点」にも採用されるほどの安全性が保証されています。

制度改正によって求められる水準が引き上げられる背景には、繰り返し起こる大地震による住宅被害の教訓があります。たとえば、2016年の熊本地震では、一度目の震度7の揺れに耐えた家屋が、二度目の揺れで倒壊したケースが多く見られました。これは、建築基準法レベルでは「一度の地震には耐えるが、繰り返しの揺れには対応しきれない」という実態を浮き彫りにした出来事です。その結果、より高い耐震性能が必要だという認識が急速に広まったのです。

また、耐震等級はただ安全性を高めるだけでなく、経済的なメリットも見逃せません。住宅ローン減税や登録免許税の軽減措置など、長期優良住宅の認定によって得られる優遇措置の多くは、「耐震等級を満たしていること」が前提条件になっています。さらに、地震保険料の割引や、将来的な売却時の資産価値にも影響します。つまり、耐震等級は「安全性」と「資産性」の両方を左右する、非常に重要な要素なのです。

ただし、耐震等級の取得には、相応の設計技術とコストが必要です。特に等級3の場合、構造計算の精度や使用する建材、壁の配置計画など、細部にわたって高い設計力が求められます。そのため、設計段階から耐震等級を取得する前提で住宅計画を進めることが大切です。また、第三者機関による評価書を取得することで、確実に認定が得られるようにすることも忘れてはなりません。

長期優良住宅の認定を目指すうえで、耐震等級の条件を満たすことは避けて通れない課題です。これは単に制度をクリアするためではなく、自分と家族の命を守るための本質的な備えであるべきです。コストや設計上の制約もありますが、長期的に見れば、それ以上の安心と価値を得られる選択であることは間違いありません。これから住宅を建てる方は、制度改正を機に、より高い耐震性能を備えた家づくりを真剣に検討していくべきでしょう。

耐震等級3の取得で得られる3つのメリット

住宅を建てる際、「耐震等級3を取得するかどうか」で悩む方は多いでしょう。確かに、設計や施工の難易度が上がり、コストも増える可能性があります。しかし、その分得られるメリットは非常に大きく、将来にわたって安心と経済的な利益をもたらします。ここでは、耐震等級3の取得によって得られる3つの具体的なメリットを、詳しく解説していきます。

地震保険料の割引や税制優遇措置

耐震等級3の住宅は、国の制度においても高く評価されており、地震保険料の割引対象になります。保険料は、建物の構造や所在地によって異なりますが、耐震等級3を取得していれば、最大50%の割引を受けられることがあります。これは、10年、20年と長く住む住宅において、大きな節約につながる要素です。

さらに、長期優良住宅としての認定を受ける際にも、耐震等級3は大きなアドバンテージとなります。住宅ローン控除の上限額が拡充されるほか、登録免許税や不動産取得税、固定資産税の軽減など、税制面での優遇措置が幅広く適用されます。これらの制度は、住宅を購入・建築するタイミングに応じて適用されるため、早めの情報収集と計画的な申請が重要です。

このように、耐震等級3の取得は、ただの「安全対策」ではなく、家計にも直結する賢い選択となるのです。

災害時の安全性と資産価値の維持

耐震等級3のもう一つの大きなメリットは、命を守るための「安心感」です。日本は、地震活動が活発な環太平洋造山帯に位置しており、今後も大地震が発生する可能性は高いとされています。そのような中で、家族の命や生活の基盤を守るためには、最大限の耐震性能が必要不可欠です。

特に注目すべきは、熊本地震での実例です。震度7の揺れが2度発生したにもかかわらず、耐震等級3の住宅の多くは構造被害を免れ、継続して居住が可能でした。一方、等級1や2の住宅では、倒壊や半壊の被害が多数報告されました。この違いは、単なる数値の違いではなく、現実の災害時における「住めるか、住めないか」という大きな分かれ目となります。

また、耐震性が高い住宅は、中古住宅市場でも高い評価を受けやすく、将来的な資産価値の維持にもつながります。購入時の価格だけでなく、長期的な価値を考えたとき、耐震等級3の取得は大きな意味を持つのです。

住宅ローンや融資条件の優遇

近年では、金融機関も住宅の性能に注目するようになってきており、耐震等級3を取得した住宅に対して、住宅ローンの金利優遇や融資条件の緩和を実施するケースが増えています。たとえば、一部の銀行では、耐震性や省エネ性能が一定以上の住宅に対して、0.1%〜0.3%程度の金利優遇を行っているところもあります。

この金利差は、数千万円単位の住宅ローンを組む場合、10年、20年で数十万円から百万円単位の差になることもあるため、非常に大きな経済的メリットと言えるでしょう。また、フラット35などの公的なローン制度においても、耐震等級3は技術基準の一つとして評価されており、金利引き下げの対象となります。

さらに、災害時の住宅再建支援制度においても、耐震等級3の住宅は優先的に支援対象となる場合があります。つまり、災害後の生活再建にも強く、住宅ローンにおいても有利な条件で借入ができるという「二重の安心」が得られるのです。

これらの点からもわかるように、耐震等級3の取得は、安全性と同時に、経済的な安定をもたらす重要な戦略です。住宅を「守るもの」として考えるならば、耐震等級3は妥協すべきではない条件であると言えるでしょう。

—————————————

「耐震等級や長期優良住宅についてもっと詳しく知りたい」と思ったら、まずは専門家に相談してみませんか?
SOSHIN HOME CRAFTでは、無料で耐震や家づくりに関するご相談を承っています。
👉 無料相談はこちら

—————————————

耐震等級を上げるために必要な費用とその内訳

耐震等級を上げることは、家族の命を守るため、そして安心して暮らすための重要な投資です。しかしながら、「耐震等級3にすると高くなるのでは?」と心配される方も多いでしょう。確かに、一般的な住宅と比べて設計や構造面での配慮が必要になるため、一定の追加費用が発生するのは事実です。とはいえ、その内容をしっかり理解することで、「なぜその費用がかかるのか」「何に使われるのか」が明確になり、納得感のある選択ができるようになります。

耐震等級を高めるために必要な費用は、大きく分けて3つのカテゴリに分類されます。1つ目が設計・構造計算にかかる費用、2つ目が住宅性能評価などの申請関連費用、そして3つ目が実際の施工や耐震補強にかかる建築費用です。これらを順に詳しく見ていきましょう。

設計・構造計算にかかる費用

耐震等級3を取得するためには、構造計算書を作成し、建物全体のバランスや強度を数値で証明する必要があります。これは「許容応力度計算」と呼ばれるもので、専門知識を持つ構造設計者による詳細な検討が求められます。

この作業には、通常の設計費用とは別に10万円〜30万円程度の追加費用がかかる場合が一般的です。特に2階建て以上の住宅や、複雑な形状の住宅の場合は計算量が増え、費用も高くなる傾向があります。しかし、この費用によって得られるのは、ただの「数字」ではありません。第三者に証明できる確かな耐震性、そして安心して暮らせる日々の土台となる構造そのものなのです。

また、構造設計の段階で、適切な壁配置や耐力壁の設計が行われることで、過剰な補強を避け、全体の建築コストを最適化できるケースも少なくありません。設計段階での投資は、結果的に無駄な施工費を防ぐという点でも非常に有効です。

性能評価書の取得費用

耐震等級3を客観的に証明するためには、住宅性能表示制度に基づく評価書の取得がほぼ必須です。これは国土交通省が指定する第三者機関によって発行されるもので、長期優良住宅の認定や地震保険料の割引などの制度利用にも不可欠となります。

性能評価書の取得には、一般的に10万円〜20万円前後の費用がかかります。ただし、住宅の規模や内容、評価項目の範囲によって変動があります。ここで重要なのは、この評価書が単なる「証明書」ではなく、将来にわたって住宅の価値を裏付ける「資産証明」になるという点です。

たとえば、住宅を売却する際、買い手にとって耐震等級3が証明されている住宅は、安心して購入できる大きな材料になります。つまり、この評価書にかかる費用は、将来の資産価値を支えるための先行投資とも言えるのです。

施工コストや補強工事費用

実際の施工段階においても、耐震等級3を実現するには、一般的な住宅以上の部材や施工技術が求められます。特に重要なのが「耐力壁」の量と配置、そして「接合部」の補強です。これらを適切に配置しなければ、どれだけ構造計算をしても耐震等級3の性能は実現できません。

こうした設計に基づく施工には、10万円〜50万円程度の追加費用が発生するケースが多いですが、これも住宅の形状や延べ床面積、地域の地盤状況などによって大きく異なります。また、筋交いの追加や構造用合板の増設、金物の補強といった作業が必要になる場合もあります。

加えて、施工を担当する建築会社や工務店の技術力も重要なポイントです。いくら設計が完璧でも、現場での施工にミスがあれば、実際の耐震性能は発揮されません。そのため、耐震等級3に対応した施工実績のある会社を選ぶことも、費用の「見えないリスク」を回避するためには非常に重要です。

このように、耐震等級3を実現するための費用は決して安くはありませんが、それ以上の価値があります。命を守るための投資、将来の資産価値を守るための投資、そして経済的な優遇制度を受けるための投資と考えれば、その費用対効果は非常に高いといえるでしょう。住宅を「コスト」ではなく「資産」として捉える視点が、より良い家づくりへの第一歩となるはずです。

耐震等級取得時の注意点と施工会社選びのポイント

耐震等級3の住宅は、家族の命を守るだけでなく、資産価値の維持や税制優遇など、多くのメリットがあります。しかし、その取得には高度な設計と確実な施工が求められるため、いくつかの注意点があります。特に、住宅会社選びは非常に重要な要素となります。どれほど立派な設計図があっても、それを正確に形にできなければ、本来の性能は発揮されません。ここでは、耐震等級を取得する際の具体的な注意点と、施工会社選びのコツを詳しく解説します。

実績のある設計・施工会社の重要性

耐震等級3の取得は、単に「壁を増やす」「金物を多く使う」といった単純な作業ではありません。建物全体の構造バランス、重心と剛心のずれ、壁の配置、床構面の剛性確保など、専門的な知識と高度な技術が求められます。つまり、設計と施工の両方において豊富な経験とノウハウを持つ会社でなければ、理想的な耐震性能は実現できないのです。

実際、過去には「耐震等級3を取得した」と言われて建てられた住宅が、第三者検査で基準を満たしていなかった事例も存在します。こうした問題は、設計図通りに現場が動いていなかった、あるいは施工者が構造に関する理解が不足していたことに起因しています。耐震性能を数値として証明するには、構造設計の段階から認定機関との連携が欠かせず、現場でも設計の意図を正しく理解し実行できる体制が必要です。

したがって、施工会社を選ぶ際には、耐震等級3の実績がどれだけあるか、どのような評価機関と連携しているか、また現場監督や職人のスキルや対応力についても確認することが重要です。住宅会社によっては、設計だけは外注で対応し、施工は社内で行うという体制のところもあります。その場合、両者の連携不足によるトラブルが起こりやすくなるため、情報の共有体制や現場管理の仕組みにも注目すべきです。

設計の自由度と費用のバランス

耐震等級3を取得する際に見落としがちな点として、「設計の自由度が制限されること」があります。たとえば、開口部が多い間取りや、大きな吹き抜け空間、壁の少ないデザイン住宅などは、耐震性能の確保が難しくなるため、耐震等級3の基準に適合させるには、追加の補強や特殊な構造設計が必要になることがあります。

その結果、当初の設計プランを変更しなければならなかったり、コストが予定よりも高くなってしまったりする可能性もあるのです。たとえば、南側に大きな窓を複数設けたいという希望があっても、耐力壁の配置上、窓のサイズや数を制限しなければならないケースは少なくありません。

このような制約があることを理解せずに進めてしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することにもなりかねません。そのため、設計初期の段階から、耐震等級3を取得する前提でプランニングを行い、どこまで自由度を確保できるか、コストにどの程度の影響があるかを明確にしたうえで判断することが大切です。

設計の自由度を保ちつつ耐震等級3を取得するには、構造計算や部材選定、間取り設計において、非常に高度なバランス感覚が求められます。そのためにも、設計者としっかりと対話し、意図や希望を丁寧に伝えることが成功への鍵となります。

よくある質問で疑問を解消!長期優良住宅と耐震等級Q&A

耐震等級や長期優良住宅について調べていくと、さまざまな情報が出てきて混乱することも少なくありません。特に、「等級3相当とは?」「長期優良住宅の認定で何が証明されるのか?」など、制度の仕組みや実際の効果について疑問を持つ方が多いです。ここでは、よくある3つの質問に焦点をあてて、具体的に分かりやすく解説していきます。

「耐震等級3相当」との違いとは?

住宅展示場や不動産広告で「耐震等級3相当」と書かれていることがありますが、これは正式な等級3とは異なる表現です。「相当」とは、建築会社が自社で独自に基準を設け、それに沿って耐震性を高めていることを意味しますが、第三者機関による公的な評価がなされていないという点で、大きな違いがあります。

正式な「耐震等級3」を取得するには、国が定める住宅性能表示制度に基づき、認定機関のチェックを受けた上で評価書を取得する必要があります。この評価書は、地震保険の割引や、住宅ローンの金利優遇、長期優良住宅の認定など、公的制度に連動したメリットを受けるための必須書類でもあります。

一方、「相当」という表現だけでは、そうした制度の恩恵を受けることができないほか、実際の耐震性能が設計通りに確保されているかも不透明なままです。表現の違いが、住宅の安全性や経済的なメリットに直結するため、「等級3相当」と書かれている住宅には注意が必要です。購入や契約の前には、必ず公的な評価書の有無を確認することが重要です。

長期優良住宅の認定で耐震等級は証明できるの?

長期優良住宅の認定制度には、「耐震性」が重要な評価項目として含まれています。具体的には、耐震等級2以上の性能が求められており、制度上も一定の耐震性が担保されているのは事実です。しかし、それだけで「耐震等級3を取得している」とは限らず、明確な証明とはなりません。

長期優良住宅に認定されているからといって、必ずしも等級3を取得しているわけではないため、住宅の構造性能について正確に知りたい場合は、別途「住宅性能評価書」の取得が必要になります。この評価書には、耐震等級を含む複数の性能項目が明記されており、第三者機関によって検証・記録されたものなので、非常に信頼性が高いです。

また、認定制度と性能評価は連携して活用することが推奨されています。たとえば、認定申請の際に住宅性能評価書を添付することで、審査がスムーズに進み、後の手続きも一括で管理しやすくなります。制度と評価を正しく使い分けることで、住宅の安全性・信頼性をより明確に伝えることができ、売却や相続時にも有利に働きます。

「耐震等級3である」ことをどう証明できるの?

住宅を購入した後や、建築を依頼した後に「本当に耐震等級3が取れているのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。これを証明する最も確実な方法は、「設計住宅性能評価書」または「建設住宅性能評価書」を取得することです。これらは、住宅性能表示制度に基づく公的な書類であり、耐震等級を含む各種の性能が数値で明示されています。

設計段階だけで評価を受けた場合は「設計住宅性能評価書」が発行され、建築後に現場検査を受けた場合は「建設住宅性能評価書」が追加で発行されます。両方取得している場合は、設計通りに建てられていることが第三者によって確認されたことを意味し、住宅の性能が保証されている状態となります。

この評価書があるかないかで、住宅の信頼性は大きく変わります。特に将来的に売却を検討する場合や、子どもに相続する際にも、耐震等級が明示された評価書は資産価値を裏付ける証明となります。評価書の取得には一定の費用がかかりますが、長期的に見れば大きな安心と信頼につながる投資といえるでしょう。

まとめ|長期優良住宅耐震等級の制度を正しく理解して安心な住まいを手に入れよう

住宅は一度建てたら、何十年にもわたって住み続ける大切な資産です。そのため、見た目のデザインや設備の充実度だけでなく、長期にわたって安心して暮らせる構造的な安全性が求められます。中でも、地震の多い日本において「耐震性能の高さ」は最も重要な住宅性能のひとつです。こうした背景の中で注目されているのが、「長期優良住宅」と「耐震等級」の制度です。これらを正しく理解し、活用することで、家族の命と暮らしを守る強固な住まいづくりが可能になります。

長期優良住宅制度は、住宅の性能や品質、そして長期的な維持管理のしやすさを国が評価・認定する制度です。耐震性、省エネ性、劣化対策など複数の要件を満たした住宅に与えられる認定であり、住宅ローン減税や固定資産税の軽減、地震保険料の割引など、経済的なメリットも大きいのが特徴です。中でも耐震性に関しては、耐震等級2以上が原則条件となっており、2025年以降はさらにその基準が厳格化される予定です。

そして、耐震等級とは、建物の地震に対する強さを国が定めた基準で3段階に評価したものです。最も高い耐震等級3を取得することで、大規模地震にも耐える構造を実現でき、命を守る備えになります。また、それだけでなく、保険料やローン金利、住宅の資産価値といった金銭面でも大きな恩恵を受けられるため、将来的なコストパフォーマンスも優れています。

ただし、こうした認定や等級の取得には、設計・構造・施工の各工程で高い精度と信頼性が求められます。つまり、どの施工会社を選ぶか、どんな構法や計算方法を採用するかが、耐震性能と住宅の将来性を大きく左右することになるのです。特に、実績のある会社を選び、初期段階から耐震等級3を前提とした家づくりを進めることで、設計の自由度と安全性をバランスよく両立させることが可能になります。

そして最後に、耐震性能は「見た目では判断できない」住宅性能の代表格です。広告やパンフレットの文言だけでは、正確な等級や評価が分からないこともあるため、公的な評価書の有無や、耐震等級3の明示があるかどうかは、住宅選びにおいて重要なチェックポイントです。地震が起きてからでは遅いという現実を踏まえ、建築前にしっかりと性能を確認しておく姿勢が、家族を守る住まいづくりの第一歩となるでしょう。

長期優良住宅の取得、そして耐震等級3の取得は、単なる「制度対応」ではありません。それは、「安心」「安全」「資産性」「快適性」を兼ね備えた、未来に誇れる住まいを築くための手段です。これから家づくりを始める方は、ぜひ制度と等級を正しく理解し、価値ある選択をしてください。

—————————————

「耐震等級や長期優良住宅についてもっと詳しく知りたい」と思ったら、まずは専門家に相談してみませんか?
SOSHIN HOME CRAFTでは、無料で耐震や家づくりに関するご相談を承っています。
👉 無料相談はこちら

—————————————

関連記事一覧

資料を請求する・相談をしてみる
こちらから
資料を請求する・相談をしてみる
こちらから