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【わかりやすく解説】耐震診断費用のすべて

自宅の耐震性に不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

「耐震診断って具体的に何をするの?」「費用はいくらくらいかかるの?」「補助金はあるの?」と、実際に踏み出すには分からないことも多いものです。

この記事では、耐震診断の費用に焦点を当て、相場や内訳、助成制度の活用方法、診断の流れや注意点まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。安心・安全な暮らしを守る第一歩として、まずは耐震診断の基本を知ることから始めましょう。

耐震診断費用の目安を知って予算を把握しましょう

耐震診断を検討するうえで、まず気になるのが「一体いくらかかるのか」という費用面の話です。

診断費用の相場は、建物の種類(木造か非木造か)、築年数、図面の有無、延床面積などの条件によって大きく変動します。

木造住宅の場合、最も基本的な「一般診断」であれば、10万〜20万円程度が一つの目安です。これに対し、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)のような非木造建築では、より専門的な知識や設備が必要になるため、20万〜50万円といった高めの費用がかかるケースが多いです。

また、診断の内容によっても金額は異なります。

例えば、目視調査を中心に行う「簡易診断」は比較的安価で、5万円〜10万円程度で実施できる場合もあります。しかし、詳細な構造解析や図面に基づいた計算を行う「精密診断」では、20万円以上かかることも珍しくありません。建物の規模が大きい場合や、複雑な構造をしている場合はさらに費用が増加する可能性があります。

費用だけを見て「高いからやめておこう」と考える方もいますが、それは非常に危険な判断です。耐震診断は、地震発生時に命や財産を守るための最初のステップです。費用をかけてでも正確な診断を受けておくことは、将来への投資とも言えます。

耐震診断費用の相場木造住宅編と費用項目を詳しく解説

耐震診断を受けるにあたって、特に多くの方が対象となるのが「木造住宅」です。このような住宅における耐震診断の費用相場と、具体的な費用項目を詳しく把握しておくことで、より納得感のある判断と予算立てが可能になります。

耐震診断の種類と費用項目を確認しよう

耐震診断にはいくつかの種類があり、それぞれ内容と費用が異なります。主に、「簡易診断」「一般診断」「精密診断」の3段階に分類されます。

簡易診断は外観や平面図などをもとに行う簡略化された調査で、費用は5万円〜10万円程度と比較的安価です。短時間で済むため、急ぎの判断が必要なときなどに適しています。

次に一般診断は、建築図面と現地調査の両方を組み合わせて建物の耐震性を総合的に評価します。この段階では、耐力壁の配置、屋根の重さ、基礎の状態などを考慮した診断が行われ、10〜20万円ほどの費用が相場です。

そして最も詳細な「精密診断」は、耐震補強を前提とした設計にも使われるほど精度の高い診断で、構造計算ソフトなども活用して行われます。その分費用も高額で、20〜30万円、場合によってはそれ以上かかることもあります。

木造住宅の耐震診断費用の相場とは

木造住宅の耐震診断費用は、一般的には10万円〜25万円の範囲内に収まることが多いです。

特に、延床面積が100㎡前後の一戸建てで、建築図面がそろっている場合には、10〜15万円前後で診断できるケースが一般的です。しかし、図面がなく再作成が必要な場合や、調査対象の住宅が広い、もしくは2世帯住宅など複雑な構造である場合には、20万円を超えることも珍しくありません。

築年数や建築方法も費用に影響を及ぼします。1981年以前の住宅では、基礎や接合部が現在の耐震基準を満たしていないことが多く、より詳細な診断が必要となる場合があります。結果として、調査内容が増え、診断費用も比例して上がる傾向にあります。

耐震診断や耐震改修工事で使える減税や補助金助成金

木造住宅の耐震診断や耐震補強工事には、国や自治体による助成金や減税制度が活用できます。特に地方自治体では、「木造住宅耐震診断事業」として診断費用の一部または全額を補助する制度を整えている場合があります。補助額は自治体ごとに異なりますが、多くは10万〜15万円程度で、条件を満たせば自己負担が実質ゼロになるケースもあります。

また、耐震改修工事を行った場合には、所得税の控除を受けられる「住宅耐震改修特別控除」や、固定資産税の減額措置などが適用される場合もあります。

耐震診断の必要性を理解しよう

耐震診断に数万円から数十万円の費用がかかると聞くと、「それだけのお金を払う価値があるのか?」と疑問を抱く方も少なくありません。

なぜ耐震診断に費用を支払ってでも受けるべきなのかについて、詳しく解説していきます。

耐震診断とは?

耐震診断とは、一言で言えば「建物が地震にどれだけ耐えられるかを調べる作業」です。構造的な安全性を科学的に判断するものであり、住宅の倒壊リスクを事前に把握するための重要な手段です。この診断には、建築士などの専門資格を持った技術者が関与し、建物の構造図を確認したうえで現地調査を行い、耐力壁の配置や基礎の状態、建物の劣化状況などを多角的に評価します。

診断には高度な知識と技術が求められます。特に、構造解析や評点の計算、報告書の作成などには時間と専門性が必要であり、単なる目視チェックでは済みません。そのため、診断業務には人件費、現地調査の交通費、専門ソフトウェアの使用料などの実費が発生し、一定の費用がかかるのです。

そもそも耐震性とは何か

耐震性とは、建物が地震の揺れに対してどの程度耐える能力があるかを示す指標です。具体的には、耐震等級や上部構造評点といった数値で表され、これにより建物が倒壊する可能性を予測することができます。

実際に、過去の大地震においても旧耐震基準の住宅の倒壊率が非常に高かったことが報告されています。

耐震性は見た目だけでは判断できず、柱の接合部や基礎の構造など、内部の状態を専門家が分析して初めて正確に評価できるものです。

耐震性については、以下の記事で詳しく知ってもらえたらと思うので、あわせてお読みください。

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地震が起きてからでは遅い!耐震診断の重要性を知ろう

多くの人が、「うちはまだ大丈夫」と思いがちですが、地震はいつどこで発生するか予測できません。地震が起きてから倒壊や損壊が発覚したのでは遅すぎるのです。大きな地震が起これば、家族の命、住む場所、財産、すべてが一瞬で失われてしまう可能性があります。

阪神・淡路大震災や熊本地震の際には、倒壊した多くの住宅が旧耐震基準で建てられた木造住宅でした。もしこれらの住宅に事前の耐震診断が施され、必要な補強が行われていれば、命を守れたケースもあったかもしれません。

さらに、地震の後に耐震補強を検討するには、建物が損傷してしまっているため改修費用がより高額になることが多いです。被災後に住宅ローンを抱えながら修復や建て替えを行うのは精神的・経済的な負担が非常に大きくなります。

だからこそ、リスクが顕在化する前に対策を講じることが最善の選択肢なのです。

耐震診断の流れと方法とその中で発生する費用を把握しよう

耐震診断に興味はあるものの、「具体的にどんな流れで進むのか分からない」「どの段階でどれだけ費用がかかるのか不安」と感じている方は少なくありません。

実際、耐震診断は数段階の工程で構成されており、それぞれのフェーズで費用や作業内容が異なります。この章では、耐震診断の一連の流れと、それぞれの工程で発生する費用の概要を詳しく解説します。

耐震診断の流れとは

耐震診断は、基本的に以下の5つのステップで進みます。

  1. 事前相談
  2. 現地調査
  3. 図面や建物情報の確認・整理
  4. 診断・評価・解析
  5. 診断結果の報告とアドバイス

最初の「事前相談」では、建物の概要や築年数、現在の状態などの聞き取りが行われます。ここで建物の所在地や図面の有無などを確認し、適切な診断の種類や方法を提案されます。この段階では通常、費用は発生しません。

次に行われる「現地調査」では、実際に建物を訪問して基礎の状況、柱や梁の配置、劣化の有無などを目視や簡易測定によって調べます。この作業には数時間を要し、調査費用として5万〜10万円程度がかかります。

「図面や建物情報の確認・整理」では、既存の構造図や配置図を基に、耐力壁や床構造などの詳細を把握します。図面がない場合は再作成が必要で、ここでも追加費用(数万円〜)が発生する可能性があります。

その後の「診断・評価・解析」では、得られたデータをもとに専門ソフトを用いて建物の耐震性を数値化します。耐震評点が1.0を下回る場合は倒壊の恐れがあると判断されます。この段階では、診断技術料や計算費として5〜10万円程度が加算されます。

最後に「診断結果の報告とアドバイス」として、診断結果を報告書としてまとめ、必要であれば補強工事の提案が行われます。報告書の作成費用やコンサルティング費がここに含まれ、2〜5万円程度となります。

木造住宅の耐震診断はどのように行うのか

木造住宅の診断では、建物の構造が多様であることから、特に丁寧な調査が求められます。調査対象は屋根、壁、柱、床下、基礎、接合部といった建物全体に及びます。築年数が古い住宅の場合は、劣化や腐食の有無、シロアリ被害なども診断対象になります。

特に床下や屋根裏に関する調査では、点検口を開けて内部の構造を直接確認する必要があるため、時間がかかるほか、調査の難易度によっては費用が増加することもあります。現地調査費とは別に、これらの特殊調査に2万円〜5万円程度が加算されるケースもあります。

耐震診断を依頼するときの注意点

耐震診断は、家の安全性を見極めるために欠かせない工程ですが、その診断が本当に信頼できるものであるかどうかは、依頼する時点の判断に大きく左右されます。費用だけを重視して選んでしまうと、正確でない診断結果や、不適切な改修提案につながるリスクもあるため注意が必要です。

診断実績のある信頼できる業者を選ぶ

まず最も重要なのは、診断を依頼する相手が「信頼できる専門家」であるかどうかです。耐震診断は、建築士などの専門資格を有する技術者が行うべき業務です。しかし、すべての業者が同じレベルの知識と経験を持っているわけではありません。

業者を選ぶ際には、過去の診断実績、地域での評判、登録団体などをチェックしましょう。特に、自治体が紹介している診断士や耐震診断協会に加盟している事業者であれば、公的な信頼性が高く、補助金制度を利用する際の要件を満たしているケースがほとんどです。

見積もり内容を細かく確認する

耐震診断の費用は、決して安いものではありません。だからこそ、提示された見積書の内容を細かく確認することが不可欠です。「現地調査費」「図面作成費」「構造計算費」「報告書作成費」など、どの作業にいくらかかるのか、すべての項目が明記されているかをチェックしましょう。

もし「一式」とだけ書かれているような見積書が提出された場合は要注意です。あとから「これは別料金です」と言われるリスクもあり、不透明な費用請求につながる恐れがあります。納得がいかない場合は、遠慮せずに内容の説明を求めるようにしましょう。

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耐震診断を活用して安心できる家づくりをしよう

家は人生で最も大きな買い物の一つであり、家族とともに暮らし、守っていく大切な空間です。

しかし、いくら外観や内装が整っていても、地震に対する安全性が確保されていなければ、真に「安心して暮らせる家」とは言えません。

だからこそ、耐震診断を「一時的な費用」としてではなく、「長期的な安心のための資産」として活用する視点が重要になります。

診断結果をもとに安全な住まいを計画する

耐震診断を行うことで、自宅の耐震性がどの程度なのか、どの部分が弱点になっているのかを可視化できます。診断結果によっては、今すぐに補強が必要な箇所、今後のリフォームで改善を検討すべき箇所など、具体的な対策方針を立てることが可能になります。何よりも重要なのは、「問題があるのかどうか分からない状態」を脱することです。

特に、築年数が30年以上経過している住宅では、老朽化による構造劣化や当時の建築基準の不備によって、倒壊リスクが高いケースも少なくありません。

補強工事の計画に役立てる

診断結果を踏まえることで、耐震補強工事の優先順位や具体的な方法を計画的に考えることができます。

また、今後リフォームやリノベーションを予定している場合、そのタイミングで耐震補強を同時に行うことで、工事コストや日程の効率化も図れます。

補強には、壁の新設や耐震金物の取り付け、基礎の補修などがありますが、どれも診断結果がなければ適切な選択ができません。裏を返せば、正確な診断を受けておけば、無駄のない合理的な補強が可能になるということです。

家族の安心と資産価値の維持につながる

耐震性が高い家は、住んでいる家族にとって命を守る「安全地帯」であるだけでなく、不動産としての資産価値にも大きな影響を及ぼします。近年では、中古住宅市場においても「耐震性の有無」が評価基準のひとつとなっており、耐震診断済み、または補強済みの住宅は購入者からの信頼を得やすく、売却時の価格にも差が出る傾向があります。

診断と補強をセットで行えば、単なる出費ではなく、将来の損失を回避する「価値ある投資」になります。つまり、今の暮らしの安心と、将来の資産形成の両面において、耐震診断の活用は非常に有効だといえるのです。

まとめ

耐震診断は、大切な家族と資産を守るための最初のステップです。

耐震診断の費用は、おおむね10万円〜30万円の範囲内で発生することが多いです。この金額には、現地調査にかかる人件費や交通費、建築図面の整理・再作成費、構造解析・評点算出のための専門ソフト使用料、報告書作成費など、いくつもの工程に関するコストが含まれています。

一見すると高額に思えるかもしれませんが、地震による建物倒壊や人的被害を未然に防ぐことができれば、その費用は決して高いものではありません。

今回も解説したように、補助金の活用などを視野に入れながら、必要性を感じて診断に活かしてください。

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著者について

Nobuo Nakatsu

多業種で経営・営業を歴任し、国際的なマネジメント経験を持つ住宅コーディネーター。
現在はSOSHIN HOME CRAFTにて建築分野の専門性を高め、性能・デザイン・価格の最適バランスを追求。
建築・古民家・ファイナンスの資格を活かし、確かな知識と実践力で理想の住まいづくりを提案しています。

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