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【必要書類】住宅省エネルギー性能証明書は補助金申請や税制優遇に必要

近年、住宅の環境性能や省エネ性能がこれまで以上に注目を集めています。

住宅を建てたり購入したりする際、将来の光熱費を抑えたい、税制優遇を受けたい、資産価値の高い家を持ちたいと考える方も多いのではないでしょうか。そうしたニーズに応えるのが、「住宅省エネルギー性能証明書」です。

この記事では、住宅省エネルギー性能証明書の基本から取得方法、評価基準、活用方法、さらには制度の最新動向までを、初めての方にもわかりやすく解説します。

住宅省エネルギー性能証明書とは何か?

住宅省エネルギー性能証明書の定義と役割

住宅省エネルギー性能証明書とは、住宅の省エネルギー性能が一定の基準を満たしていることを、専門家が評価・証明する書類です。この証明書は、住宅が国の定めた省エネ基準に適合していることを示すものであり、書類の信頼性は国や自治体、金融機関などでも公式に認められています。

そもそも、現代の住宅は、ただ快適であればよいという時代から、環境性能やエネルギー効率まで含めて「優れた住宅」と評価されるようになっています。エネルギー消費量が少ない住宅は、地球環境に配慮した生活の第一歩であると同時に、光熱費の削減や住宅の資産価値維持にも直結します。

単なる説明書ではなく、税制優遇制度や補助金申請において、提出を求められる公的な書類でもあります。

住宅省エネルギー性能証明書が必要となるタイミングとは

住宅省エネルギー性能証明書が必要になるタイミングは、主に以下の3つの場面です。1つ目は新築住宅の取得時、2つ目は中古住宅を購入する際、3つ目は住宅のリフォームや改修後に税制優遇や補助金申請を行うときです。

特に「省エネ基準適合住宅」として分類されるかどうかは、証明書の有無によって左右されるため、資金計画にも大きく影響します。

中古住宅の場合も同様です。最近では、中古住宅市場においても省エネ性能が注目されるようになり、「証明書付き住宅」の方が高値で取引される傾向があります。

また、国の補助金制度を利用するためには、証明書の提出が前提となっていることが少なくありません。

このように、証明書が必要となるタイミングを正しく理解し、適切に準備を進めておくことは、資金面でもスケジュール面でも非常に重要です。

住宅省エネルギー性能証明書の取得方法と発行者について

住宅省エネルギー性能証明書を発行できる専門家とは

住宅省エネルギー性能証明書を発行できるのは限られた専門家だけです。一級または二級建築士、一級建築施工管理技士などの有資格者であり、かつ、住宅の設計や監理に実際に関わっている必要があります。

建築士が証明書を発行するケースは、設計から監理までを一貫して担当した住宅に限られます。

設計の意図を理解したうえで性能評価を行える点が利点ですが、一方で評価の客観性を求める場合や、設計士が発行対象となる物件に関わっていない場合は、第三者機関の利用が推奨されます。

いずれの場合も重要なのは、「誰に頼むか」ではなく、「どの段階から準備を始めるか」です。

住宅省エネルギー性能証明書を取得する際の必要書類と手続きの流れ

証明書の取得には、複数の書類の提出と専門的な手続きが必要です。まず、設計図面(配置図、平面図、断面図など)や建築確認通知書、各種性能計算書類(外皮計算書、一次エネルギー消費量計算書)を用意します。

申請の流れは、①事前相談、②必要書類の提出、③評価・審査、④証明書の交付という手順が一般的です。事前相談の段階で、住宅の設計条件が省エネ基準を満たしているかをチェックし、足りない部分があれば設計修正を行います。その後、正式な審査に入り、設計図や計算書類を基に評価が進められます。第三者機関を利用する場合は、現地調査や写真の提出を求められることもあります。

発行までにかかる期間は、おおむね2週間〜1ヶ月程度。設計の複雑さや評価機関の混雑状況によっては、さらに時間がかかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが肝心です。

住宅省エネルギー性能証明書に記載される内容と注意点

住宅省エネルギー性能証明書には、次のような情報が記載されます。①住宅の所在地、②発行者情報、③証明対象の住宅の概要(構造・用途・規模など)、④外皮平均熱貫流率(UA値)、⑤一次エネルギー消費量基準の適合状況などが中心です。

特に重要なのが、断熱性能(UA値)と一次エネルギー消費量です。

また、証明書に記載される日付にも注意が必要です。

さらに、建築基準法や省エネ基準は年度によって更新されるため、以前に取得した証明書の内容が現在の制度に対応していない場合も考えられます。

住宅省エネルギー性能証明書の評価基準を詳しく理解しよう

外皮性能基準(断熱等級)についての詳細

住宅省エネルギー性能証明書を取得するうえで、最も重要な評価項目のひとつが「外皮性能基準」です。これは、住宅の外側を囲む壁・屋根・床・窓などの断熱性能を数値化したものであり、「UA値(外皮平均熱貫流率)」によって評価されます。UA値が低いほど、住宅の断熱性能が高いことを示します。

日本では、地域ごとに異なる断熱性能の基準が設けられており、気候条件に応じてUA値の基準も変わります。

断熱等級は、省エネ基準の改正に伴い見直され、現在は等級1〜7までが設定されています。2022年の法改正では新たに等級6・7が追加され、より高性能な断熱住宅が評価されやすくなりました。

断熱性能が高い住宅は、冬は暖かく、夏は涼しい環境を維持しやすくなり、冷暖房のエネルギー消費も抑えられます。

評価にあたっては、建物の形状や窓の面積、断熱材の種類や厚さなどを細かく入力して計算を行います。

一次エネルギー消費量基準が示す性能とは

外皮性能と並び、住宅省エネルギー性能証明書で評価されるもうひとつの主要項目が「一次エネルギー消費量基準」です。これは、住宅で使用される冷暖房、給湯、換気、照明などに必要なエネルギーを合算し、それが国の定める基準を満たしているかを判断するものです。

一次エネルギーとは、石油、石炭、天然ガス、水力など、自然から直接得られるエネルギーのことです。住宅内で使用される電気やガスなどのエネルギーを、すべて一次エネルギーに換算し、基準と比較することで、住宅全体の省エネ性能を総合的に評価します。

たとえば、同じ断熱性能を持つ住宅であっても、高効率な給湯器やLED照明、断熱サッシを使用している住宅の方が、一次エネルギー消費量は抑えられます。つまり、設備の選定が住宅全体の省エネ評価に大きな影響を与えるのです。

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住宅省エネルギー性能証明書を取得することによるメリット

減税制度や補助金申請に利用できる有利な書類

住宅省エネルギー性能証明書の最大のメリットは、各種の減税制度や補助金の申請において「提出必須書類」として活用できる点にあります。住宅購入やリフォーム時に活用できる支援制度は数多く存在しますが、それらの多くは省エネルギー性能が一定以上であることを条件にしています。その証明を行う公的な書類がこの証明書です。

例えば、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」では、証明書を提出することで、省エネ基準を満たす住宅として扱われ、控除限度額が引き上げられる場合があります。

また、贈与税の非課税枠の特例制度(直系尊属からの住宅取得資金の贈与)においても、証明書の提出によって「良質な住宅」と認定され、非課税枠が広がる仕組みがあります。

単に「性能を証明する」だけでなく、「制度を利用するための通行証」としての役割を果たすこの書類は、住宅購入・建築・リフォームにおいて非常に強力な武器となります。

住宅の資産価値を証明するための信頼性ある資料

住宅省エネルギー性能証明書は、取得時に得られる金銭的メリットだけでなく、長期的に見て住宅の資産価値を高める効果もあります。これは、証明書が「省エネ性能を客観的に評価した公的資料」としての機能を果たすためです。

住宅の価値は築年数だけでなく、性能や維持状態によっても大きく変わります。特に近年は環境意識の高まりにより、省エネ性能の高い住宅が中古市場でも注目されるようになりました。

例えば、中古住宅の売却時にこの証明書があることで、「省エネ等級◯」「UA値◯◯」など、具体的な数値を提示できます。これにより、単なる主観的なセールストークではなく、数値で示された性能として買主にアピールできるため、信頼性が大きく向上します。

さらに、資産価値の可視化は、住宅ローン審査や相続評価などにも影響を与える可能性があります。今後、省エネ性能に応じて住宅の評価額が見直されるような制度が導入される可能性もあり、証明書の取得はその準備ともなります。

住宅省エネルギー性能証明書の活用シーンを具体的に紹介

住宅ローン控除での住宅省エネルギー性能証明書の活用法

住宅を購入する多くの人にとって、最も大きな経済的支援となるのが「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。

具体的には、住宅の省エネルギー性能が一定以上であると認められた「認定住宅(省エネ基準適合住宅)」については、通常よりも優遇された控除額や控除期間が適用されるようになっています。

たとえば、一般住宅が年末残高3,000万円まで控除対象となる一方で、省エネ基準適合住宅では上限が4,000万円に引き上げられるなど、最大で数十万円単位の差が出る場合もあります。

この優遇を受けるために必要となるのが、住宅省エネルギー性能証明書です。証明書があれば、その住宅が省エネ性能の基準を満たしていることが公式に証明され、住宅ローン控除の「上位枠」に申請することができます。

取得のタイミングも重要で、控除の適用を受けるには入居前に証明書を取得しておく必要があります。遅れると控除対象から外れてしまうこともあるため、設計段階や購入手続きの早い段階から、証明書取得を前提に住宅選びを行うのが得策です。

贈与税非課税措置で必要となる住宅省エネルギー性能証明書の使い方

住宅取得資金の支援として、親や祖父母から援助を受けるケースも多く見られます。その際に活用できるのが、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」という制度です。

ところが、この非課税枠は、住宅の性能によって金額が変わります。

たとえば、省エネルギー対策等級が等級4以上であることを証明することで、非課税限度額が一般住宅より数百万円高く設定されるケースがあります。これは贈与を受ける側にとって非常に大きなメリットであり、税金を一切支払わずに受け取れる金額が大きく変わることになります。

また、この制度は期限付きの措置であり、年度によって対象条件や非課税限度額が変更されるため、早めの準備と正確な情報の把握が欠かせません。

住宅取得に際して贈与を検討している家庭にとって、住宅省エネルギー性能証明書は、いわば「お金を守るためのパスポート」です。

住宅省エネルギー性能証明書に関する制度の最新動向

子育てエコホーム支援事業と住宅省エネルギー性能証明書の関連

近年、国は住宅の省エネ化を一層推進するため、子育て世帯や若者夫婦世帯を支援する政策として「子育てエコホーム支援事業」を実施しています。この制度は、一定の省エネ性能を有する新築住宅やリフォームを対象に、補助金を支給するものです。中でも、省エネルギー性能を証明する書類として「住宅省エネルギー性能証明書」が求められるケースが増えています。

この支援事業では、ZEH(ゼッチ)水準を満たす新築住宅に対し、最大100万円の補助金が交付されます。補助を受けるためには、住宅の性能が国の定める基準を満たしていることを客観的に示す必要があり、その評価の証明として住宅省エネルギー性能証明書が有効です。

子育て支援という社会的意義と、エネルギー効率の高い住宅普及という政策目的を両立したこの制度は、今後の住宅選びにおいて欠かせない基準となるでしょう。証明書の取得は、その第一歩として極めて重要な意味を持ちます。

ZEH水準に適合した住宅省エネルギー性能証明書の必要性

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、住宅の断熱性能や設備効率を高め、太陽光発電などの創エネ設備を活用して、年間の一次エネルギー収支を実質ゼロにする住宅のことを指します。このZEHに対応する住宅を建てる、あるいは購入する場合、必ずといってよいほど求められるのが住宅省エネルギー性能証明書です。

なぜなら、ZEH水準に適合していることを公的に示す唯一の書類が、この証明書だからです。

ZEH水準の住宅は、初期コストがやや高くなる傾向がありますが、その分、長期的な光熱費削減効果や補助金による経済的支援を受けられるという点で、非常に高い費用対効果が期待できます。そして、その支援の条件として証明書は欠かせない存在となります。

まとめ

住宅省エネルギー性能証明書は、現代の住宅取得やリフォーム、そして不動産運用の場面において、非常に重要な役割を果たす書類です。単に「省エネ性能を証明する」ためだけでなく、実際に生活に直結する経済的メリット、税制優遇、補助金制度の活用において必須のツールとなっています。

これから住宅を建てる・購入する・リフォームする方にとって、住宅省エネルギー性能証明書は「将来の安心」を担保する投資でもあります。

専門家と相談しながら、早い段階での準備と取得を心がけましょう。証明書の取得は、家づくりにおける小さなステップですが、その一歩が将来の大きな安心と経済的な得につながります。

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著者について

Nobuo Nakatsu

多業種で経営・営業を歴任し、国際的なマネジメント経験を持つ住宅コーディネーター。
現在はSOSHIN HOME CRAFTにて建築分野の専門性を高め、性能・デザイン・価格の最適バランスを追求。
建築・古民家・ファイナンスの資格を活かし、確かな知識と実践力で理想の住まいづくりを提案しています。

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