耐震住宅とは何かを知りたい人へ。耐震住宅の完全ガイド
住宅の長寿命化や資産価値の維持、そして災害時の安全性を兼ね備えた「長期優良住宅」に注目が集まっています。とくにこの制度において欠かせないのが、「耐震等級」という指標です。
耐震等級は、住宅がどの程度の地震力に耐えられるかを数値化したもの。国の定める基準に基づいて1〜3の等級が設定されており、特に耐震等級3は最高等級として、命と財産を守る住まいの象徴とされています。
この記事では、長期優良住宅とは何かという基礎知識から、耐震等級の具体的な内容、2025年に迫る新基準、取得方法、そして施工会社選びのポイントまでを包括的に解説します。
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耐震住宅とはどのような住宅?
日本は世界有数の地震大国であり、過去に多くの震災を経験してきました。そうした背景の中で注目されるのが「耐震住宅」です。ここでは、耐震住宅の基本的な定義から、その社会的な背景、そして選ぶべき理由について具体的に解説します。
まず、耐震住宅とは、一定の耐震基準を満たしており、地震による揺れに対して構造的に強く設計された住宅を指します。ただし、これは単に「新しい家だから安心」といった漠然としたものではありません。法律で定められた基準に加え、建築士の設計や施工技術、使用される建材の品質など、複数の要素が重なってはじめて、耐震住宅と認められるのです。
そもそも、日本の建築基準法は、1981年の大改正によって「新耐震基準」が導入されました。それまでの旧基準では、震度6〜7クラスの大地震で倒壊する住宅も多かったため、人的被害が甚大でした。この新耐震基準を満たしていることが、耐震住宅の最低条件とも言えるのです。
耐震住宅は「法律的な基準」「構造的な安全性」「施工の品質」「経済的な合理性」の全てを兼ね備えた住宅であるべきです。単に「耐震性がある」とされているだけでは不十分で、その中身をしっかりと確認することが重要です。
家族の安全を第一に考えるのであれば、耐震住宅を選ぶことが最も現実的で信頼できる選択となるのです。
「新耐震基準」を満たしていることが最低条件
耐震住宅を語る上で、最も基本となるのが「新耐震基準」の存在です。
この基準は、1981年に改正された建築基準法によって導入されたもので、日本における住宅の安全性の基準を根本的に変えました。それまでの旧耐震基準では、震度5程度の地震に対応する設計が中心であり、想定外の大地震には対応しきれないという致命的な問題がありました。
新耐震基準では、「震度5程度の中規模地震ではほとんど損傷しない」「震度6強〜7の大地震でも建物が倒壊・崩壊しない」という性能が求められます。これはつまり、建物の損傷はあっても命を守る空間が維持されることを重視しているということです。地震が起きたときに、避難できる時間を稼ぎ、建物が崩れて下敷きになるリスクを最小限に抑えることが目的です。
ここで重要なのは、1981年以降に建てられた建物がすべて「安全」ではないという点です。法律は変わっても、実際の設計や施工が基準を満たしていなければ、耐震性能は確保されません。
また、リフォームや増改築の際に耐震性能が低下しているケースもあるため、築年数だけで判断するのは危険です。
住宅性能表示制度で定められた耐震等級を理解する
耐震住宅について深く理解するためには、「耐震等級」という考え方を無視することはできません。
耐震等級1は、建築基準法が定める最低限の耐震性能を満たしたレベルです。つまり、新耐震基準と同等の性能であり、震度6強~7の地震でも倒壊しないことを前提としています。ただし、あくまで「最低限」であるため、建物に損傷が出る可能性はあります。
耐震等級2は、等級1の1.25倍の地震力に耐えられる構造で、主に学校や病院など、不特定多数の人が利用する建物に適用されます。この等級を備えた住宅であれば、地震後も避難所として機能できる可能性が高く、より安全性が高い住宅と言えるでしょう。
さらに耐震等級3は、等級1の1.5倍の地震力に対応できる最上位グレードです。消防署や警察署など、防災拠点としての機能が求められる施設に採用される水準であり、住宅としても極めて高い耐震性能を持ちます。特に、家族を守ることを重視する子育て世代や、高齢者と暮らす世帯には、この等級が推奨されます。
耐震等級が高ければ、それに伴いコストも上がりますが、それは「命と住まいを守る保険料」として捉えるべきです。
一般住宅と比較したときの耐震住宅の違い

「耐震住宅」と「一般住宅」は、外見や間取りだけを見ればそれほど違いがないように思えるかもしれません。
一般住宅は、最低限の建築基準法を満たして建てられた住宅であり、地震対策について特段の配慮がされていないこともあります。
一方、耐震住宅は地震に「耐える」ための設計が徹底されており、地震の揺れを建物全体で分散する構造や、変形・倒壊を防ぐための補強が随所に施されています。
さらに、耐震住宅は「耐震等級」などの明確な指標に基づいて評価されるため、その性能を数値的に把握できるというメリットもあります。これは購入者にとっても安心材料となり、将来的な資産価値の維持にもつながります。
構造設計と使用される建材に大きな差がある
住宅の安全性を左右する最も根本的な要素の一つが、「構造設計」です。一般住宅と耐震住宅では、設計時に重視するポイントが根本から異なります。
一般住宅では、間取りやデザインの自由度が優先される傾向にあり、その結果として建物全体のバランスが崩れやすい設計になることがあります。
それに対して耐震住宅では、まず構造的なバランスが考慮されます。地震の揺れが加わった際、建物全体が均等に力を受けるように設計され、局所的な負荷を避けるように柱や耐力壁、梁が配置されます。これは、地震の力を一部分だけで受け止めてしまうと、そこが破損・崩壊の原因になるためです。
また、使用される建材にも明確な違いがあります。耐震住宅では、接合部を強化する専用金物、剛性の高い構造用合板、高強度なコンクリートや鉄筋が使用されるケースが多く、これらが住宅全体の耐久性を高めています。
耐震住宅ではこれらが科学的根拠に基づいてバランスよく設計されており、地震発生時に建物がねじれたり、一方向に倒れたりするのを防ぎます。
さらに、基礎構造にも違いがあります。耐震住宅では「ベタ基礎」や「布基礎+地中梁」といった、地盤との一体感を重視した基礎設計が多く見られます。これにより、不同沈下や基礎の割れといった問題が発生しにくくなり、建物全体の安定性が大きく向上します。
耐震住宅のメリットを具体的に紹介
耐震住宅を検討する際、多くの人が最初に気にするのがその「費用」かもしれません。しかし、耐震住宅にはそれを補って余りあるほどのメリットが数多く存在します。
特に、地震が頻繁に発生する日本においては、これらのメリットが長期的に見て非常に大きな価値を持つことは言うまでもありません。
命と資産を同時に守る可能性が高い
耐震住宅の最大の目的は、地震発生時に「命を守る」ことです。震度6強や7といった大地震において、住宅の倒壊が原因で命を落とすケースは少なくありません。
耐震性能が低い建物では、建物の重みによって即座に逃げ道が塞がれたり、家具の転倒によって致命的な事故が起きたりします。しかし、耐震住宅であれば、こうしたリスクを大幅に軽減できます。構造上の強度が確保されていれば、揺れに耐えて建物の崩壊を防ぎ、避難の時間を確保することができるのです。
また、建物が壊れなければ、その後の生活を早期に立て直すことが可能になります。例えば、仮設住宅や避難所での生活を余儀なくされることがないため、精神的ストレスも軽減されます。加えて、地震によって建物が全壊や半壊と判断されると、保険だけではカバーしきれないほどの損害が発生する場合があります。耐震住宅であれば、こうした資産の損失を最小限に抑えることができます。
さらには、耐震等級の高い住宅は地震保険の割引対象となることが多く、保険料を抑えつつ、必要な補償を受けることが可能です。これは住宅購入後のランニングコストにも大きく関わるメリットと言えるでしょう。
つまり、耐震住宅は単なる「災害対策」ではなく、「命と財産のリスクマネジメント」を同時に果たしてくれる存在なのです。
耐震住宅のデメリットや課題点についても知っておく
耐震住宅は、地震から命と財産を守るための有効な選択肢として広く認知されていますが、メリットばかりではありません。実際には、導入や維持にかかるコスト、設計上の制約、施工会社の選定など、いくつかの注意点も存在します。
まず、多くの人が最初に感じるのが「コストの問題」です。
しかし、その前提として、デメリットも冷静に受け止め、ライフスタイルや家族構成、将来設計に合った選択をすることが重要なのです。
初期費用の高さと設計の制約がネックになる場合も
耐震住宅の最大の障壁とされるのが、やはり「初期費用の高さ」です。これは特に、限られた予算で住宅購入を検討している若年層や子育て世代にとっては、大きな負担となる要素です。
加えて、設計の自由度が低下することも、耐震住宅の見逃せないデメリットです。
大開口の窓や広々とした吹き抜け、複雑な形状の間取りなど、デザイン性を重視する施主にとって、構造上の制限はストレスになることがあります。耐震性を確保するためには、どうしても柱や壁の配置に制約が生まれ、自由な空間設計が難しくなるのです。
こうした制約を理解しないまま家づくりを進めてしまうと、「思ったよりも希望の間取りが実現できなかった」という不満につながる可能性があります。
だからこそ、事前に建築士や設計士と十分に相談を重ね、「どこまでが構造上譲れない条件か」「どの部分に自由を持たせられるか」を明確にしておく必要があるのです。
さらに、これらの初期投資や設計の制限が、短期的な視点で見ると「コストばかりかかって得が少ない」と感じさせる原因にもなり得ます。
したがって、耐震住宅の導入を検討する際には、初期費用や設計制限を一時的なデメリットと捉えるのではなく、「長期的な安心と安定のための先行投資」として前向きに受け止める姿勢が求められます。
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耐震住宅に取り入れられる主な構造技術
耐震住宅が地震に強いのは、単に建材がしっかりしているからではありません。実際には、「揺れに耐える」「揺れを吸収する」「揺れを伝えない」という、異なるアプローチを持った技術が組み合わされて初めて、真に安心できる構造が実現されています。
これらはそれぞれ、「耐震」「制震」「免震」と呼ばれる技術であり、耐震住宅を語るうえで欠かすことのできない重要な要素です。
耐震、制震、免震の違いを正しく理解する
まず「耐震」は、最も基本的な構造技術です。
これは、柱や梁、耐力壁などを適切に配置し、建物そのものの強度を高めて、揺れに耐える構造を作ることを目的としています。現在の建築基準法でも、耐震構造は義務付けられており、すべての新築住宅はこの技術をベースとしています。
しかし、耐震構造には欠点もあります。それは、大きな揺れを直接建物が受け止めるため、構造が耐えても内装が大きく損傷したり、家具の転倒などで人的被害が出る可能性があることです。建物自体は倒壊しなくても、揺れによる二次的なリスクを完全に排除できないという現実があります。
そこで登場するのが「制震」技術です。
制震は、建物に取り付けたダンパー(制震装置)などが、揺れのエネルギーを吸収し、建物全体の揺れを軽減する仕組みです。特に繰り返しの余震に強いという特長があり、地震が長時間続いたり、複数回起こることを想定している場合には非常に効果的です。制震装置は、鉄骨造やRC造だけでなく、木造住宅にも対応しており、リフォーム時に導入できるタイプもあります。
そして最も高度な技術が「免震」です。
免震は、建物と地盤の間に「アイソレーター」や「ダンパー」などの装置を設けて、地面の揺れを建物に直接伝えないようにする構造です。揺れ自体を建物に伝えないため、室内の被害も最小限に抑えることができるのが最大のメリットです。
ただし、免震構造は設置のために大がかりな工事が必要であり、コストも非常に高いため、すべての住宅に適しているわけではありません。また、軟弱地盤では効果が薄れたり、メンテナンスが必要になるなどの注意点もあります。
どんな人が耐震住宅を選ぶべきか
耐震住宅は、「すべての人にとって必要」といっても過言ではありませんが、その中でもとくに耐震住宅を選ぶべき人には、いくつかの具体的な特徴があります。
地震は予測できず、一度発生すれば人の命や財産を一瞬で奪う力を持っています。そのため、耐震住宅の導入は「万が一」に備える最も現実的な方法です。
特に以下のような人々には、耐震住宅の導入が強く推奨されます。
家族や資産を守りたい人には特におすすめ
まず第一に、子育て中の家族や高齢者と同居している方にとって、耐震住宅は極めて重要な選択です。小さな子どもや身体の自由が利かない高齢者は、地震発生時に迅速に避難することが難しく、建物が倒壊してしまうとその被害を受けるリスクが非常に高くなります。
また、長く住むことを前提として住宅を購入・新築する人にとっても、耐震性能は非常に重要な判断材料です。
地震に強い家は、築年数が経っても資産価値が維持されやすく、将来的な売却や相続時にも有利に働く可能性があります。逆に、耐震性能が不十分な住宅は、地震による損壊リスクだけでなく、資産としての価値も著しく下がる恐れがあるのです。
加えて、住宅ローンを組んで住まいを購入する人にとっても、耐震性能は保険的な意味を持ちます。
地震により住宅が倒壊してしまうと、住む場所を失いながらもローンだけが残るという最悪のケースになりかねません。耐震住宅であれば、そうしたリスクを大きく減らすことができるため、結果的に「ローンを安心して支払っていける環境」を得ることにもつながります。
さらに、住宅購入時の補助金制度や地震保険の割引を活用したいと考えている人にも、耐震住宅は魅力的です。多くの補助金や優遇制度は、耐震等級2以上の住宅を対象としていることが多く、しっかりとした耐震性能を備えた住宅であることが条件となっています。
将来に向けてのコストパフォーマンスを考える上でも、制度を活用できる耐震住宅は非常に賢い選択です。
このように、家族の命と財産を守りたいすべての人にとって、耐震住宅は選ぶべき価値のある選択肢です。単なる構造の違いではなく、暮らしの安心を支える土台として、今こそ真剣に検討するべきタイミングなのです。
SOSHIN HOME CRAFTでは、乾燥無垢材という、無垢材の中でも希少性の高い材料を使用しています。
この素材は、シックハウス症候群対策に効果を発揮しますので、滋賀県で家づくりを始められる方に推奨しています。
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長期優良住宅を建てるなら施工会社の実績が鍵
長期優良住宅は、見た目の美しさや設備の充実だけでなく、構造的な性能や耐震性、維持管理のしやすさなど、総合的な住宅性能が求められる住宅です。そのため、設計から施工、完成後のフォローまで、すべての工程において高い品質が確保されていることが絶対条件となります。そこで重要になってくるのが、「施工会社の実績」です。
どれほど優れた設計がなされていても、それを正確に再現できなければ、その住宅は「性能通り」とは言えません。
特に耐震等級3をはじめとした高等級の耐震性能を実現するには、計算に基づく正確な構造施工と、それを支える確かな技術力が必要不可欠です。建築確認が通っていても、現場での施工不良や工事の簡略化があれば、本来持つべき性能が確保されないこともあります。
また、長期優良住宅の認定を受けるには、構造・断熱・省エネ・劣化対策など、複数の性能要件を同時にクリアする必要があります。それらをすべて理解し、適切に対応できる施工会社でなければ、申請段階で不備が生じたり、後から追加費用が発生したりすることもあります。
過去に長期優良住宅の建築実績が豊富な施工会社であれば、手続きもスムーズで、構造的な安全性や快適性も高水準で確保される可能性が高くなります。
どんなに魅力的な住宅プランがあっても、それを確実に形にする「現場力」がなければ、長期優良住宅の認定や、実際の耐震性能は実現しません。
施工会社の選定は、単なる価格やデザインの比較にとどまらず、長く快適で安心して住み続けられる家づくりの土台として、最も重視すべきポイントのひとつなのです。
よくある疑問

長期優良住宅や耐震等級に関心を持つ人の多くが、専門用語や制度の複雑さに戸惑いを感じています。特に、設計・申請・施工の各段階で出てくる「○○等級」や「○○相当」といった用語の違いは、初めて家づくりをする人にとって非常にわかりづらいものです。
Q.長期優良住宅で耐震等級3相当は通用する?
長期優良住宅の認定を受ける際に、「耐震等級3相当であればよいのでは?」と考える方が少なくありません。ここで問題になるのは、「耐震等級3」と「耐震等級3相当」の違いです。
耐震等級3は、国が定めた住宅性能表示制度に基づく正式な等級評価であり、第三者機関の審査と認証を経てはじめて取得できるものです。一方で、「等級3相当」とは、設計や構造上の仕様が等級3に近い基準を満たしていることを意味する言葉であり、公的な認定ではありません。つまり、「相当」と表現されている場合は、自己評価や建築士の判断に過ぎない可能性があり、制度的な裏付けが存在しないのです。
長期優良住宅の認定申請には、原則として「住宅性能評価書」など、公的な証明書が求められます。そのため、等級3相当では申請が通らないケースがほとんどです。
まとめ
「長期優良住宅」と「耐震等級」は、安全性と快適性、そして資産価値を高めるうえで極めて重要なキーワードです。
これまで解説してきたように、長期優良住宅とは、国が定める一定の性能基準を満たすことで、税制優遇や保険料の割引などのメリットを享受できる制度です。そしてその中心的な指標となるのが「耐震等級」であり、地震に対する建物の強さを数値で示す明確な基準です。
特に注目すべきは、2025年に予定されている制度改正です。この改正により、耐震等級の評価方法や設計基準が大きく変わる見込みで、これから住宅を建てる方にとっては“選び方”そのものが変わるタイミングに差し掛かっています。
つまり、今後の家づくりでは「価格」や「デザイン」だけでなく、「構造安全性」と「法制度の理解」がより重要な判断基準となるのです。
家族を守るため、資産を守るため、そして将来の不安を最小限にするためにも、家づくりの初期段階でこうした基礎知識を押さえておくことが、後悔しない家づくりへの第一歩となるのです。
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